ニュージーランドの学校は、一月にはじまって、十一月が学年末。大学受験生は、たいがいは十一月半ばごろまでに、どこかの大学の合格証を手にしている。そこで、合格が決まった生徒たちは、集まって合格祝福イベントをするのだが、この国の大学合格祝福イベントは、なんともユニークだ。このイベントの名は「シット・ファイト」。場所は、たいがい、キャンプ場付近の牧場である。ニュージーランドの牧場は広大で、何キロも緑の平原がつづく。どんちゃん騒ぎにうってつけ……と思ったら、この「シット・ファイト」、ただのどんちゃん騒ぎではない。ヒツジがのどかに草を食む牧場の中では、当然ながら、あちこちにヒツジのウンコが落ちている。ここに集まった生徒たちは、リーダーの指揮で、このヒツジのウンコを拾っては投げつけあうのだ。じつは、「シット」というのは、ウンコのこと。「シット・ファイト」は、雪合戦ならぬヒツジのウンコ投げ合戦である。このイベントには、生徒たちの高校の先生たちも参加する。生徒は、先生に世話になった礼をいいながら、ウンコをぶつける。先生のほうは、「ノー・サンキューだよ」といいながら、ウンコをぶつけられる。メンバーの中には、ニュージーランド先住民のマオリ族の生徒もいて、奇声と気炎で雰囲気を盛り上げる。かつてのマオリ族の野性的で豪快な気質には、マオリ族だけなく、入植者のイギリス系白人たちも郷愁を抱いており、マオリ族の歌や踊りが現代にも伝えられ、国じゅうの人々に愛されている。シット・ファイトは、そんなニュージーランドならではの豪快な大学合格祝福イベントなのだ。このシット・ファイトはなんとも臭いイベントだが、ニュージーランドには、もっといい匂いのよく似たイベントもある。その名も「キウイフルーツ合戦」。こちらはキウイのなかでも、木箱に四キロほど入って三十円か四十円ぐらいの安いものを、やはり雪合戦のようにして投げつけあうゲームなのだ。
意外なワイキキを教えよう。観光客で賑わうワイキキだが、ここが自然そのままの海ではなく、人工的に造られたビーチだと知ると驚く人も多いだろう。だがこのあたりはかつてゴツゴツした岩が多く、一面の湿地帯だった。それをダイナマイトで爆破し、オアフ島の裏側にあるノースショアから運んできた白砂を大量に入れて、ダイヤモンドヘッドを望む美しいビーチにデザインしたのだ。現在、ワイキキの背後にゴルフ場を望むアラワイ運河という運河があるが、これは湿地帯だった場所の水位を調節するために造られたものだった。だが、元来ビーチではなかった場所に白砂を入れるものだから、海流の影響で沖へ沖へと砂が流出してしまう。そこで一時は、ノースショアやアメリカ西海岸あたりからも砂を運んでいた。しかしそれを続けるとノースショアのビーチにも影響が出てしまうので、現在では砂の流れる沖合にポンプを引き、砂を吸い上げて再利用するという作業を行っている。
薩摩湾の北端、国分付近は空港が立地したこともあってハイテク基地として整備され、テクノポリスにも指定された。その原動力となっているのは、鹿児島出身の稲盛和夫が創業した京セラで、研究所なども含めて京都と並ぶ準本社機能を置いている。その稲盛が座右の銘にするのが西郷隆盛の「敬天愛人」という言葉であるが、ともかく、薩摩の人は西郷さんが好きだ。芸能人などでも西郷輝彦、栃若のライバルだった朝潮太郎など眉毛の濃い男性的な風貌の主がこの国らしい。不言実行を是として、「議をいうな」と理屈先行より行動を重んじる気風である。だから思想的な新しい流れをつくるというより、新しい時代をつかみとって現実化するのに強い。徳川慶喜は「長州はもともと反幕府を鮮明にしてたのだから恨みはないが、薩摩は味方だと思っていたら倒幕に転じたから許せない」といったが、薩長の違いについてのひとつの批評だ。